子供の盲腸(急性虫垂炎)は早期発見が大切!原因や症状・治療法まとめ
子供のお腹が痛い時、子供が上手に痛みを伝えることができればいいのですが、幼いうちはなかなか難しいものです。
痛みの度合いがわからず、緊急性があるのかもわからず、困りますよね。
お腹痛の原因はさまざまですが、お腹痛の代表的な病気といえば「盲腸」です。
今回は盲腸の原因や症状治療法などについてまとめてみました。
盲腸を見極める簡易チェックも用意しました。
このページの目次
子供の盲腸(急性虫垂炎)は重症化しやすい
盲腸の症状は大人も子供も同じですが、子供の盲腸は「重症化しやすい」ので注意が必要です。
なぜ子供の盲腸は重症化しやすいのでしょうか?
盲腸とは
そもそも「盲腸」とは一般的にそう呼ばれているだけで、正しい名称は「急性虫垂炎」といいます。
盲腸とは体内の「虫垂」が、なんらかの原因により炎症をおこしてしまい、急性の腹痛を伴うものです。
大人も子供もなる可能性がある盲腸ですが、盲腸の発生率は10代~30代が多いと言われています。
ちなみに2歳以下の子供が盲腸になる割合は低いようです。
子供の盲腸が重症化しやすい理由
大人の盲腸と子供の盲腸の違いは、子供の盲腸の方が重症化しやすいということです。
子供は大人の腸に比べると「壁が薄く」「穴があきやすい」ため、「腹膜炎」を併発することがあります。
腹膜とは臓器を覆っている薄い透明の膜です。この腹膜に菌が入り炎症を起こすのです。
盲腸と腹膜炎を併発すると、最悪の場合死に至ることもあります。
ですので子供の盲腸は、早期に発見することが大切です。
子供が急激な腹痛をうったえた場合は、盲腸をうたがい迷わず病院へ行きましょう。
盲腸になる原因
盲腸になる主な原因は、「虫垂」が大腸菌や細菌などに感染したことで、虫垂に炎症が起きるからと言われています。
他にもさまざまな説がありますが、実際のところは未だに原因が明確になっていません。
虫垂に炎症が起きる以外の説では下記の説が上げられます。
- ストレス
- ウイルスの感染
- 暴飲暴食
- 糞石の詰まり
- 便秘
盲腸の症状
盲腸になると激しい腹痛になるというイメージがありますよね。
実は、激しい腹痛になる前に「初期症状」があります。
盲腸の初期症状はこれらのものがあげられます。
- 吐き気や嘔吐
- 発熱
- お腹上部の痛み
- 便意
徐々にお腹の痛みが強まり、その後吐き気や嘔吐、発熱が症状として出ます。
熱は37度~38度の間とそこまで高くないことが多いようです
数時間後にお腹の痛みは、腹部右下に移っていきます。
盲腸の特徴は、「お腹の痛みが右下に移動すること」です。
そしてお腹を押さえて、離した時に痛みがでることが多いです。
上記の症状が見られ、お腹の痛みが右下へ移動している場合
盲腸の可能性があるので、すぐに病院へ行くようにしましょう。
初期症状の時点で盲腸に気がついてあげられれば、
子供は激しい腹痛に悩まされることはありません。
盲腸の治療法
盲腸の治療には、「薬物治療方法」と「手術で盲腸を切り取る方法」があります。
ちなみに盲腸を薬で治療する場合「薬で散らす」と一般的に言われています。
どうして盲腸だけ「散らす」と表現するのか不思議ですよね。
しかしなぜ「散らす」と言われるようになったのかは明確になっていません。
薬物治療
盲腸の初期段階では、手術ではなく「薬」による治療が可能です。
抗生物質を使い、虫垂の炎症を抑えて治療していきます。
薬による治療とは、「点滴」による治療で炎症を和らげていきます。
薬を使って盲腸を治療すると、手術が必要ないので回復が早いことがメリットです。
しかし盲腸が再発する可能性があるので、その点はデメリットと言えます。
「薬で散らす」方法で治療をした場合は、あくまでも炎症を和らげているだけと思っておきましょう。
盲腸が再発する確率は「10人~20人に1人程度」ですが、「薬で散らす」方法は完治しないのです。
手術
盲腸が再発しない確実な治療方法は「手術」です。
手術といっても、開腹手術ではなく、お腹に小さな穴を開けておこなう「腹腔鏡手術」です。
腹腔鏡手術は術後の痛みがほとんどなく、回復も早いです。
手術には全身麻酔されることがほとんどで、炎症した虫垂を切り取ります。
虫垂を切り取るので再発する恐れがありません。
以前まで虫垂は、体にとって「何の役にも立っていない」と考えられていましたが、最近はそうではないようです。
胃腸の免疫機能に役立っているという考えが広まってきており、
切除しなくて済むなら切除しない病院が多くなってきています。
入院はする?
「薬」の場合は、盲腸の程度によって通院で治療する場合もありますし、入院して治療する場合もあります。
「手術」の場合は、一週間ほどの入院期間で退院できることがほとんどです。
盲腸による手術・入院にかかる費用は10万円前後ですので、高額医療請求を忘れないようにしましょう。
医療保険に入っていれば、少しプラスになってお金が戻ってくることもあるようです。
盲腸を見分ける簡易セルフチェック
盲腸かどうかの判断を簡易的にチェックする方法があります。
下記は盲腸になった時の特徴ですので、子供の様子に当てはまる項目があるか確認しましょう。
- 熱がある
- お腹の上部に痛みがある
- 時間とともに痛みが右下に下りている
- 食欲がなく、吐き気や嘔吐がある
- お腹を押すと痛がる
- 片足でケンケンをするとお腹に痛みがでる
いくつか当てはまるなら盲腸の可能性がありますので、病院へ行きましょう。
盲腸の症状で救急車を呼んでもいい?
子供のお腹が急に痛くなりだしたら、救急車を呼んでも良いのか悩みますよね。
病院が遠い上に車を持っていなかったり、夜なら夜間救急を受け入れている病院が遠かったりと、
すぐに病院にいけないこともあるかと思います。
先程も書きましたが、子供の盲腸は腹膜炎を併発する可能性があります。
我慢したり翌朝まで通院を待ったりすると、その危険性がより増します。
子供がとてもお腹を痛がる場合で、車がなければ救急車を呼んでも問題ありません。
まとめ
子供が急に腹痛を訴えている場合、盲腸の可能性があります。
盲腸の症状には発熱や嘔吐、腹痛がある場合が多いですね。
特に普通の腹痛と違い、徐々に右下へと腹痛が移動する点は、親が気にしておきましょう。
家庭の判断で様子見にしていると、重症化してしまうことがありますので、早めに病院へ受診するようにしてください。
盲腸の治療方は「薬による治療」または「手術」になります。
薬の場合は軽症であればその日に帰えることができる場合があります。
手術であれば間違いなく入院となります。
ただし薬による治療の場合は再発のリスクがあることは忘れないでおきましょう。
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