養育費の新算定表(新算定方式)はいつから開始されるの?具体的な金額は?
離婚するにあたって「養育費の取り決め」は必須項目です。
今後シングルマザーになって子供を育てて行くのであれば、養育費はしっかり貰えるだけ貰わなくてはいけません。
現在、養育費の取り決めをする場合は、「2003年に裁判官の研究会」が発表した算定式が使われています。
ですが今の養育費では足りないという声が多く、問題視されており「2016年11月」に新しい算定表が提案されたのです。
今回は、この新しい算定表について色々調べてみました。
このページの目次
養育費が見直され始めています
養育費を決める際に使用される「算定表」ですが、この金額が少ないのではないか?と言われています。
日本中の弁護士が所属する「日弁連」でもそのことは言われており、
日本弁護士連合会は、現在養育費の取り決めに使う算定表について見直しをおこない、新しい算定表を発表しました。
日弁連は30日、夫婦の一方が離婚後に支払う子どもの養育費について、新たな算定方式をまとめた提言を発表した。「現在の方式では額が低い」という当事者からの批判が強く、新方式では従来の1.5倍程度となる見込み。離婚養育費1.5倍に=新たな算定方式提言-日弁連
夫婦が離婚する際に取り決める子どもの養育費などについて、日本弁護士連合会は新たな算定方式を公表した。離婚後の養育費引き上げへ新「算定方式」 日弁連が提言
新しい養育費の算定方式では、養育費が約1.5倍になります。
これはシングルマザーや、今後離婚を考えている人に嬉しいニュースですね。
次に養育費の新算定方式が見直されるようになった「理由」についてみていきましょう。
なぜ養育費の算定表が新しく見直されることになった?
養育費の算定表が新しく見直されることになった理由は、
養育費の金額が低すぎるという声が多かったからです。
昨今、シングルマザーの貧困が取り沙汰される機会が増えてきました。
離婚協議や裁判の現場では、2003年に裁判官らでつくる研究会がまとめた算定表が使われてきた。夫婦それぞれの年収や子どもの人数から、目安となる金額を算出している。
ただ、金額によっては、受け取る側の生活レベルが低下するケースがある。日弁連は12年に「母子家庭の貧困の一因になっている」とする意見書を出し、改善を求めてきた。離婚養育費1.5倍に=新たな算定方式提言-日弁連
2012年の貧困(世帯年収約122万円未満)率は、子供がいる現役世帯(世帯主が18-64歳)全体では15.1%なのに対し、ひとり親世帯では約55%にまで跳ね上がる(ひとり親世帯の約9割が母子家庭)。2世帯に1世帯以上が、貧困に苦しんでいるのだ。「明日の食費がない」「子育ては苦しみばかり」【ルポ】シングルマザーの貧困
養育費が少ないと、足りない分の子育て費用は、「母親」が負担しなくてはいけません。
母親は家計から出費することになるので、貧困家庭が増えているのです。
「シングルマザー家庭の貧困を解決する為に」養育費を見直すことになったというわけです
養育費の新しい算定表について
養育費の新しい算定表になると、養育費は今の約1.5倍になります。
これは今の算定表から出されている養育費の相場から比べると、とても大きい差があります。
養育費が少なくて困っているママからすればとても助かりますよね。
それでは新しい養育費の算定はいつから開始されるのでしょうか?
また具体的な金額を決める計算式はどのような計算式なのでしょうか?
いつから新しい算定表になるの?
現在、養育費を決める時に使われている算定表は、2003年に裁判官の研究会が発表したものです。
夫婦の収入を照らし合わせ、養育費の金額が出されている計算式なのですが、
算定式に法的な拘束力はなく、あくまでも参考にするものです。
ただし算定式を使って決定した養育費には、拘束力が生まれます。
ですので算定式は非常に重要な意味を持つのです。
そこで新たに提案されている算定表にいつ切り替わるのか?という疑問があります。
結論から言いますと、「新しい算定表に変わる日程」は明確になっていません。
なぜなら算定表はあくまでも「参考にする式」です。
法律に書かれていることでなければ、裁判官が必ず採用するわけでもないのです。
ですので「明確にいつから採用する」というわけではなく、
弁護士が率先して新しい算定表を使い、裁判所に定着させていく必要があるのです。
日弁連が新しい算定表を発表したことで、今後日弁連の考えに賛同する弁護士は、積極的にこの算定表を採用していくでしょう。
新しい算定表を使って求められた養育費が認められ出せば、その算定表は定着したといえます。
新しい算定表
現在の算定表と新しい算定表で大きく変わった点といえば2点あります。
まず1点目は「子供の年齢の分け方」です。
現在の算定表では「0~14歳」「15~19歳」の2つに分けて、金額設定をしています。
しかし新しい算定表では「0~5歳」「6~14歳」「15~19歳」に細かく分けられるようになります。
現在の算定表では、乳幼児も小学生も同じ額として計算されるので、新しい算定表の方が実態に即していると言えます。
そして2点目は、経費の控除です。
現在は特別経費として、収入から「住居費経費」が控除されていますが、
新しい算定表では控除は認めないということが加わります。
そうすることで、養育費を支払う側の総収入額を引き上げ、支払われる養育費が増えるのです。
日弁連が提言した、新しい算定表の詳しい詳細はこちらです。(具体的な計算式も掲載されています)
新しい簡易な算定方式・算定表に関する提言
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新算定表の計算式例
新算定表になれば受け取れる養育費が増えるのですが、一体どれだけ増えるのでしょうか?
新算定方式はこちらです。
(1) 義務者の基礎収入から振り分けられる子ども分の生活費
=義務者の基礎収入×{子どもの生活費指数÷(義務者の生活費指数+子ど
もの生活費指数)}
(2) 養育費
=義務者の基礎収入から振り分けられる子ども分の生活費×{義務者の基礎
収入÷(義務者の基礎収入+権利者の基礎収入)}養育費の算定
こちらは生活費指数です。
画像引用:養育費・婚姻費用の 新しい簡易な算定方式・算定表に関する提言
計算式は複雑になりますので、一般家庭の場合の金額を例示します。
- 父親の収入が400万円
- 母親の収入が175万円
- 子供1人 15歳
この場合、現在の算定表でしたら養育費は4万円です。ですが新しい算定表でしたら7万円になります。
毎月3万円多く養育費が貰える計算になるので、とても嬉しいですね。
今現在の養育費の取り決めには反映されない
今離婚を検討している場合、養育費の取り決めで使われる算定表は、新しいものではありません。
裁判所のHPをみても新算定表にはまだ切り替わっていません。
新しい算定表になるにはまだ多くの問題点があります。
問題点の一例を上げます。
養育費の相場が上がると、目先の養育費に期待して離婚率が増えるのではないかという懸念があります。
そもそも養育費を取り決めて離婚したとしても、8割が養育費の未払いになっているのが日本の現状です。
養育費の相場が上がることで離婚をする家庭が増えますが、期待していた養育費を受け取れない家庭も増えるのです。
養育費を受け取れないとシングル家庭は貧困になります。
母子手当や生活保護手当などで、国に負担が乗しかかってくるのではないかという懸念があるのです。
またどれだけシングル家庭に有利な養育費算定式を導入したとしても、養育費の支払いに応じなければ意味はありません。
算定式を見直して養育費を上げることは簡単ですが、養育費が上がれば不払いの人も増えることが予見されます。
このことから新しい算定表に刷新しようとはなかなかならないのです。
新算定表が定着すれば養育費の額の変更調停を
既に離婚をしており、養育費をもらっている人は、この新算定表を使えないのでしょうか?
答えは、NOです。
すでに決まった養育費を受け取っている人でも、算定表が広まれば増額の申し立てが可能になります。
この新算定表が定着した時に「養育費の額の変更調停」を申し立てることで、今現在貰っている養育費が1.5倍になる可能性があります。
養育費は、協議離婚や調停離婚などで取り決めている金額があります。
養育の金額は決定していることなのですが、裁判所で見直しを求める調停の申し立てができるのです。
ですので新しい算定表が定着した時には、家庭裁判所で調停を申し立てましょう。
話し合いがうまく進めば養育費が1.5倍に増えることが期待できます。
と言うことは新しい算定表を期待して離婚を我慢するのであれば
さっさと離婚して、新しい算定表が広まったときに申し立てをすれば良いのですね。
まとめ
養育費を取り決めるにあたって、現在使われている算定表の金額の低さに疑問を持ってた方は多いことだと思います。
養育費が少ないことが、「シングルマザーの貧困」の要因の1つになっていることが現状です。
今回、日本弁護士連合会が発表した「養育費の新算定表」は、
現在の養育費が約1.5倍にもなるので、シングル家庭からの期待が寄せられています。
ですがこの新算定表はいつから使われるかという、明確な期日はありません。
今後弁護士が新算定表を活発に利用していくことで、新算定表が早く浸透することを期待するしかありません。
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シングルマザーが受けられる制度をまとめました。
母子家庭は市営住宅が当選しやすいってホント?
1.5倍では多すぎる。
https://www.bengo4.com/c_3/c_1029/n_5441/
シングルマザーが思っているよりも、弁護士は冷静です。
養育費増額を煽ってるのは離婚弁護士だけじゃないですかね。
サド様
コメントありがとうございます。
現在の養育費算定表では、低すぎるという意見が多いので新算定表での改正が求められています。
確かに国で決まっている算定表ではありませんので、弁護士が積極的に新算定表を使うことで、基準を定着させていこうというものです。
DVにより現在離婚調停中で、3人対1人で親権をわけ、母である私が3人の親権者です。
私の弁護士さんが新算定方式を取り入れてくださり、養育費を算定してくださり、夫は否定していてなかなか進みません。
早く、新算定方式が普及してくれたらいいですよね。現在進行形ですが、この文章をみてさらにがんばります。ありがとうございました。
養育費を払っている者ですが、支払った養育費は確定申告で所得税から控除すべきだと思う。
現状では法の下の平等、税の公平性に反している。