高等学校等就学支援金制度を使って公立・私立・国立高校の授業料を減額しよう!
公立高校の授業料が無償化されたことをご存じの方は多いと思います。
公立高校の授業料が無償化されたことを受けて、公立高校の授業料と私立高校の授業料にかなりの差が生じるようになりました。
これを受けて私立高校の授業料を減額する制度が追加された「高等学校等就学支援金制度(新制度)」が始まりました。
ですので、この「高等学校等就学支援金制度」を使えば公立高校・私立高校関係なく授業料を安く出来るようになったのです。
このページでは高等学校等就学支援金制度(新制度)についてわかりやすく説明をいたします。
※この記事は2016年9月に書かれた記事です。これ以降に制度に変更が生じている場合もあります。
高等学校等就学支援金制度について
「高等学校等就学支援金制度」と言う言葉自体、初めて聞いたという人も多いのではないでしょうか?
実はこの高等学校等就学支援金制度こそが、「公立高校の授業料を減額・無償化する」制度なのです。
そして、私立高校の授業料を減額する制度を盛り込んだのが、「新しい高等学校等就学支援金制度」なのです。
高等学校等就学支援金制度は、都道府県が制定した制度ではなく、国が制定した制度です。
ですので、どこの都道府県にお住まいでも利用することは可能です。(一部都道府県についてはさらに手厚い制度があります)
この高等学校等就学支援金制度を使うことが出来るか否か、使える場合には一体どれだけ減額されるか?は親権者の「市町村民税所得割額」で決定されます。
ですので年収で決定されるわけではありません。
市町村民税所得割額って一体なに?
高等学校等就学支援金制度を使えるか否か判断する際に使用する「市町村民税所得割額」とは一体何でしょうか?
市町村民税所得割額と書くと何やら難しそうですが、これを分割しますと
「市町村民税」と「所得割額」が合わさった言葉です。
市町村民税は、所得に関係なく一律に加算される均等割と、所得が増えれば加算額も増える所得割の合算となっています。
ですので、市町村民税の所得割額のみの金額を「市町村民税所得割額」と呼ぶのです。
誰の税額で決まるの?
高等学校等就学支援金制度を使えるか否かを決める際に用いる市町村民税所得割額は、親権者合算になります。
父も母も市町村民税を納付している場合は、その合計額で計算されます。
あくまでも親権者になりますので、同居の祖父母などは計算に含まれません。
ただし就学費用の大半を祖父母が負担しており、さらに親権者の所得が殆ど無い場合は、祖父母の額も合算される場合もあります。
いつの時点の市町村民税所得割額で計算されるの?
親権者が収める市町村民税所得割額の額は、制度を使おうとしている時の「一年前の税額」となります。
平成29年に高等学校等就学支援金制度を使おうとしている場合、平成28年1月1日~12月31日の市町村民税所得割額を元に計算します。
ただし、家計に急な逼迫があった場合など特別な事情がある場合は、さらに支援を受けることが出来る場合があります。
この支援については学校により違いますので、学校に確認下さい。
返済は必要?
高等学校等就学支援金制度を使って軽減された分の授業料は、後日返済する必要はありません。
奨学金のように国からお金を借りているわけではなく、支援として支給されるお金だからです。
高等学校等就学支援金制度の利用方法(受取方法)
高等学校等就学支援金制度を使って授業料を軽減するには、一体何を提出してどこでもらうことが出来るのでしょうか?
必要書類
高等学校等就学支援金制度を使う際に必要になる書類は「2種類」です。
- 高等学校等就学支援金制度申請書
- 市町村民税所得割額が確認出来る書類
となります。
高等学校等就学支援金制度申請書は、進学先の高校から配布されます。
「市町村民税所得割額が確認出来る書類」とは下記の種類のどれか一つで確認できます。
(夫婦ともに収めている場合はそれぞれの書類が必要です)
- 課税証明書(市役所などで発行)
- 市民税・県民税等の「特別徴収税額の決定・変更通知書」(勤務先から配布)
- 住民税納税通知書(自営業のみ、自宅に届く)
※源泉徴収票では、市町村民税の税額は確認できません。
市民税・県民税等の「特別徴収税額の決定・変更通知書」や住民税納税通知書を紛失してしまった場合は、課税証明書発行すれば、市町村民税所得割額を確認出来ます。
これらの書類は、前年度の税額が記載されているものが必要になります。
お金は誰が受け取るのか
高等学校等就学支援金制度を使って減額される分のお金は、直接高校に振り込まれることになります。
ですので、親や子の口座に振り込まれるわけではありません。
ただし学校によっては一旦本来の授業料を納付し、高等学校等就学支援金制度の金額が高校に振り込まれてから、その分を返金するという高校もあるようです。
具体的な支払い方法は学校に直接確認して下さい。
どのような人がもらえるの?
高等学校等就学支援金制度を使うには、対象者に該当する必要があります。
どのような人が高等学校等就学支援金制度の対象者とされているのでしょうか?
高校生であること
高等学校等就学支援金制度は高校の授業料を減額するための制度です。
ですので、高校生(またはそれと同等とされる学生)のみが対象となっています。
文部科学省が指定する、学生要件は下記の通りです。
・中等教育学校後期課程
・特別支援学校の高等部
・高等専門学校(1~3学年)
・専修学校(高等課程)
・専修学校の一般課程や各種学校のうち国家資格者養成課程に指定されている学校
・各種学校のうち一定の要件を満たす外国人学校(告示で指定)
高校生等への修学支援
※中等教育学校後期課程とは中学生のことではなく高校生のことです。
これらの学生要件に当てはまるとしても、留年すると4年目の授業料に関しては減額されません。
(卒業までに必要な最低期間を超えた分の授業料に関しては減額されません)
親権者の市町村民税所得割額が一定以下であること
さらに親権者の市町村民税所得割額が、一定以下であることも条件となります。
親権者の市町村民税所得割額が「年間30万4200円未満」の家庭のみ、高等学校等就学支援金制度を利用することが出来ます。
あくまでもサラリーマン家庭の目安ですが「年収910万円未満」であれば、年間30万4200円未満の市町村民税所得割額に該当する可能性が高いでしょう。
いくらもらえるの?(何円減額されるの?)
高等学校等就学支援金制度を使えば、高校の授業料は何円減額されるのでしょうか?
基本額
先程記載した、高等学校等就学支援金制度の対象者であれば、誰もが基本額分の減額を受けることが出来ます。
基本額の金額とは、下記の通りです。
- 全日制/月額9,900円(年間118,800円)
- 定時制/月額2,700円(年間32,400円)
- 通信制/月額520円(年間6,240円)
市民税が特に低い場合
さらに、市町村民税所得割額が一定より低い人は、より多くの減額を受けることが出来ます。
- 0円/月額24,750円(年間297,000円)
- 5万1,300円未満/月額19,800円(年間237,600円)
- 15万4,500円未満/月額14,850円(年間178,200円)
(市町村民税所得割額/減額合計額)
※上記の金額には基本額を加算しておりますのでご注意下さい。
年収と市町村民税所得割額の目安は下記の通りです。
(あくまでも目安です。厳密には年収で計算するものではありません。)
- 0円/250万円未満
- 5万1,300円/350万円未満
- 15万4,500円/590万円未満
(市町村民税所得割額/年収)
市町村民税所得割額の見直しは毎年行われます。
年収が変わったことで市町村民税所得割額に増減があった場合は、減額分の数字が変わる場合があります。
減額が適用される期間
高等学校等就学支援金制度は全日制の高校で36ヶ月、定時制・通信制の高校で48ヶ月の間受け取ることが出来ます。
休学をする場合でも支給停止の申し出を行っていないと、「0円」が支給されてしまい、期間として計上されてしまいます。
もし休学をする場合は必ず、支給停止の申し出を行いましょう。
その他
高等学校等就学支援金制度を利用する上で、よく疑問に上がる項目をピックアップしました。
シングル家庭の場合はどうなるの?
シングルマザーやシングルファザーの家庭の場合でも、高等学校等就学支援金を使うことは当然可能です。
その場合の市町村民税所得割額の計算方法ですが、あくまでも「親権者」の額となります。
ですので、親権者ではない側の額を加算する必要はありません。
親権者ではない側から親権者へ、養育費としてお金を渡していた場合でも、市町村民税所得割額には影響がないため、養育費額は計算に含めません。
ただし子どもの就学費用の大半を、親権者ではない側が負担していた場合、親権者ではない側の市町村民税所得割額を元に計算される場合があります。
保護者が離婚することになった場合
保護者が離婚することになった場合や再婚することになった場合、速やかに届け出をする必要があります。
離婚などにより収入が減り、減額分が増える場合
届け出のあった翌月から、減額分が増えます。
再婚などにより収入が増え、減額分が減る場合
保護者関係の変更が生じた翌月から、減額分が減ります。
ですので、離婚すれば勝手に減額分が増えるわけではないので、必ず届け出を行いましょう。
高校を中退して再び入学した場合は?
高校を中退して再び高校に入学した場合、卒業までに36ヶ月以上の期間がかかってしまいます。
この場合平成26年4月以降に高校に入学した場合であれば、特例として24ヶ月間の就学支援金相当の支援を行う制度があります。
嘘の申告をしてもバレない?
嘘の申告をして、本来であれば高等学校等就学支援金制度の対象ではないのに対象者であるフリをしたり、減額分を増やしたりした場合は不正利得の徴収や刑罰に処されることがあります。
くれぐれも嘘をついて申告したり、再婚したことを隠すようなことは辞めましょう。
(再婚がバレた場合、再婚した時から給付額は減少消滅します)
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