子どもの左利きは直すべき?左利きによるメリット・デメリットや直し方について
日本人の大半が右手のなか、我が子の利き手が左手だった場合、
「右利きに矯正した方が良いのでは?」と悩む親が多いだと思います。
多くの物が「右手用」に作られているなかで、子供が不便するのではないか?
見る人によっては「左利き」は、良い教育を受けてこなかったと思うのではないか?
と不安になる気持ちはわかります。
しかし左利きを直す必要はありません。
今回は左利きを直す必要がない理由や、左利きから右利きに矯正することで子供が受ける影響は、どのようなものがあるのかをお話します。
このページの目次
左利きになる原因
人間の利き手は、3.4歳の時に決まります。
ほとんどの人が右利きですが、中には左利きの人もいます。
左利きの人の割合は、世界で10%前後です。
ちなみに左利きになる原因は解明されていません。
解明されていない中で、たくさんの説があります。
その中でも有力視されているのが下記の3つです。
- 右脳と左脳が逆説
- 遺伝説
- 生活環境説
この3つの説についてみていきましょう。
右脳と左脳が逆
人間の脳は、右脳と左脳に分かれています。
そして体の左半身は右脳と繋がっていて、体の右半身は左脳と繋がっています。
右脳と左脳のそれぞれで、機能や役割は違っています。
「文字を書く」という行動は一般的に左脳によっておこなわれます。
つまり左脳が文字を書く行動を指示することで、右手が機能するのです。
しかし左利きの人は、右脳と左脳が通常の「逆位置」にあるという説があります。
左脳が右側にあることで、文字を書く行動は左手に指示が出されます。
そのため左利きになるのではないかと言われているのです。
遺伝
左利きが劣性遺伝と言われていた時代があり、最近では左利きになる遺伝子要素「PCSK6」が発見されています。
最近の遺伝子学の研究では、両親のどちらかが左利きの場合、または両親が左利きの場合、子供が左利きになる割合が多いとされています。
両親とも右利きの場合 ⇒ 左利きの子どもが生まれる確立は2.1%
両親のどちらかが左利きの場合 ⇒ 左利きの子どもが生まれる確立は7.3%
両親とも左利きの場合 ⇒ 左利きの子どもが生まれる確立は46%
秋山こどもクリニック
このようなデータがあることから、左利きは遺伝するのではないかと言われています。
生活環境
子供の利き手が決まるまでの「生活環境」により、右利きまたは左利きになると言われています。
つまり脳や遺伝は関係なく、子供の頃の「持ち手癖」により左利きになるということです。
幼いころから右手をよく使っていたら右利きになり、左手をよく使っていたら左利きになるという説です。
左利きを矯正しなくていい理由
左利きの子供に対して、右利きに矯正する必要はありません。
むしろ矯正はしない方が良いでしょう。
左利きを矯正しなくても良いと言える理由は、下記の通りです。
能力を十分に発揮できなくなる
左手が使いやすいから左手を使っている状態で、無理矢理右手を使わそうとすると、
本来なら出来たはずのことが出来なくなる可能性があります。
左利きの人は、握力が右手より左手の方が強く、手先の器用さも右手より左手のほうが上です。
それを無理に右手にすることで握力が弱まり、器用になるはずが不器用になってしまうのです。
これが逆に右利きの人が「左手で文字を書きなさい」と言われていることと同じです。
汚い字になりますし、ストレスを感じることでしょう。
ストレスを感じる
無理をして右手を使うことで、ストレスになります。
そもそも子供が左手を使う理由は、右手より左手の方が使いやすいからです。
にも関わらず周りの人に、右手を使うよう無理強いをされたり左手を使って怒られたりすると、ストレスがかかります。
左手の方が文字を書きやすいのに、右手しか使ってはいけないとなると、文字を書くことが嫌になりかねません。
文字を書くことがストレスになり、勉強する時は文字を書かなければなりませんので、勉強嫌いに繋がる可能性もあります。
コンプレックスを感じる
左手を使い注意されることで、「左手は使ってはいけない」という否定意識になります。
しかし左利きの子どもは、左利きの自分にコンプレックスを感じていることが多いようです。
みんなは右利きなのに、自分だけ左利きと思うと、恥ずかしいと思ってしまうのです。
左利きは決して劣等感を持つ必要がないことなのに、幼いながらにコンプレックスを植え付けられるのです。
自信喪失に繋がる
左利き手を直すために、親に叱られたり、先生に注意されたりすると、自分を否定されているという考えになります。
右手を使いたいのに、うまくできないことで周りに注意され、
「子供自身が能力不足・努力不足なのかもしれない」
「自分はできない人間なんだ」と、自身喪失に繋がります。
子供の頃の精神的なダメージは、大人になっても延々と引きずる方が多いようです。
左利きのメリット・デメリット
左利きを直す必要はないと言いましたが、
確かに、右手社会で左利きだとデメリットはあります。
しかし逆に、左利きにしかないメリットもあります。
私個人的には、左手のデメリットよりもメリットの方が大きいと思っています。
それでは左利きのメリットとデメリットを見てみましょう。
メリット
左利きのメリットはこちらです。
スポーツ選手のサウスポー
スポーツ選手の左利きは「サウスポー」といって、有利といわれています。
スポーツの中でも、左利きが有利になるスポーツと無関係なスポーツがあります。
例えば水泳やマラソンは左利きであっても、有利にはなりません。
しかし野球やサッカー、バスケなどは左利きの選手がとても有利になります。
なぜなら周りは右手の選手が多いことから、身についている運動パターンが右手選手への対応が多いからです。
攻撃・防御など、右手選手に対応した運動パターンが身につきます。
そこで左手選手の敵が現れると、調子が崩されるのです。
スポーツ選手は「左利き」と言うだけで、選手寿命が長くなると言われています。
それだけ左利きはメリットになるのです。
脳が活発になる
右手社会になっていることから、左利きの人は利き手ではない右手を使う頻度が、必然的に高くなります。
自動販売機のお金を入れる位置や、扉の取っ手の位置など、ほとんどが右利きの人が使いやすい位置にあります。
このような場合右利きの人はいつもどおり、左脳を使い右手を使用します。
しかし左利きの人は右脳を使うことが多いものの、右手を使わないといけない環境になるので、左脳も使い右手を使います。
右利きの人に比べると左利きの人は、右脳と左脳をよく使うことになるので、脳が活発になると言われています。
デメリット
左利きのデメリットはこちらです。
文字を書く際に不便
ノートを書く時は、左上から右に流れて書き進めていくのが一般的です。
学校での授業ノートや、手紙を書く時なども、一般的に左から右です。
ですので左利きの人は文字を書いたノートの上の部分を、左手で擦ってしまうので左手が汚れやすくなります。
また、左利きは習字の書き方にある「はらい」「ハネ」がうまく書けません。
学校によっては、左利きの子供に対して、習字だけは無理に右手で書かせるところもあります。
左利きはボールペンがうまく使えません。
左利きの場合は文字を書き進める角度に圧力がかかってしまい、インクがうまく出ないのです。
(左利き用のボールペンを使えば解決します)
左利き用品の値段が高い
基本的に文具、スポーツ用品は右手用に作られています。
文具でしたらハサミやカッターナイフ、スポーツ用品なら野球のグローブやミットなどが左利き用のものとして販売されています。
しかし左利き用品は、製造が少なく、通常の商品より値段が高めに設定されているのです。
寿命が短くなる
明確に解明されているわけではありませんが、左利きの人は右利きの人より寿命が短いと言われています。
左利きの人は右利きの人に比べて、「平均寿命が9年短い」というアメリカのデータもあります。
右手社会なので、日頃から多くのストレスを受けているからではないかと言われています。
隣の席の人とひじがぶつかる
食事をする際や学校の授業中など、左利きの人の左側に右利きの人が座っている場合、隣の人とひじがぶつかりやすくなります。
ですので左利きの人は、左側に座ろうという意識をすることが多くなり、不便に感じ事があります。
ですがこれは、大したデメリットでは無いですね。
左利きには天才が多い?
上記のようにデメリットが多い左利きですが、デメリットの内容を見るとわかるように、それほど大した問題ではないことが多いです。
そもそも左利きで大人になった人の多くは、左利きなことをそれほど不便にも思っていません。
むしろ、「幼い時に矯正されたことが辛かった」という人が多いのです。
左利きの人には天才肌の人が多いと言われていて、芸術家や科学者、著名人に左利きの人が多く存在します。
- ピカソ
- ダヴィンチ
- ビル・ゲイツ
- モーツァルト
- ベートーベン
- 松本人志
上記の有名人の他にも左利きの人はまだまだいます。
左利きなら必ずしも天才といわけではありませんし、科学的に証明されているわけではありません。
しかし左利きの人は、右利きの人より脳を多く使うため、脳が発達しています。
ですので左利きには天才が多いのではないかと言われているのです。
左利きの直し方
左利きを直す必要はないとお話してきたのですが、それでも子供の左利きを直したい親はいるはずです。
そのような人のために、左利きの直し方を説明します。
子供は3.4歳までに利き手が決まります。
それまでは左手で物を持つこともあれば、右手で物を持つこともあります。
この時期に「左手で物を持つ頻度が高いな」と思ったら、子供が左手で持っている物を、右手に持ち持ち替えさせてください。
3.4歳を過ぎても左利きの場合は、左手で物を持ったり、絵を書く度に右手に替えてください。
保育園・幼稚園・小学校などでは、先生に「右手を使う練習をさせてほしい」「左手を使っていたら持ち替えてほしい」と伝えておくと協力してもらえます。
しかしどれだけ矯正しても、左利きが直らない子供がいます。
そのような時に強く叱ったり怒ったりするのは、子供の自尊心を傷つけるだけですので止めましょう。
左利きは悪いことではないので、怒る必要はありません。
左利きは子供の個性と思って受け入れましょう。
まとめ
子供が左利きになる原因は、遺伝や生活環境、さまざまな意見がありますが未だにはっきりしていません。
左利きは決して悪いことではないのですが、生活する上では少し不便です。
親の気持ちからすれば、出来る限り右利きにしてあげようと思うのは当然ですよね。
しかし無理に矯正すると子供はストレスを感じます。
ですので、無理に左利きを直す必要はありません。
しかしどうしても左利きを直したいという場合は、子供が左手を使う度に右手に持ち直させましょう。
その際は、怒ることなく叱ることなく、教える必要があります。
もし子供の左利きが直らなかったとしても、心配ありません。
本人はそこまで不便に思っていないですし、スポーツや芸術の面で意外な活躍をする可能性があります。
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