他人の子どもを叩くのを止めさせるには?暴力的になる原因や相談先など
私は現役保育士ですが、【子ども同士のトラブル】は毎日にようにあります。
特に子どもが他の友だちを叩くという行為は、どの年齢の担任をしても尽きないトラブルです。
私も保育経験が浅い頃は、どうやって対応したら良いのか…
解決策に日々悩まされていました。
一時的でなく、怪我につながるような暴力的な行動が続く子どももいます。
そういった場合は保護者の方にもお伝えします。
保護者自身も困っているようで、
「園だけでなく外でも暴力的で親自身も悩まされている」
という声をよく聞きます。
保育士経験10年目。
いろんな年齢の子どもを保育したなかで、
子ども同士のトラブルを解決する方法は身についてきました。
今回はそんな悩みを持つ親の気持ちを考え、
他人の子どもを叩くのをやめさせる方法、原因、相談先などをまとめました。
このページの目次
子どもが友だちを叩いたときの対処法(やめさせる方法)
子どもが友だちを叩いたとき・叩くのをやめさせるには、以下の方法があります。
- 子どもが落ち着くのを待つ
- 子どもの話に耳を傾ける
- 子どもの気持ちに共感する
- 相手の気持ちを考えさせる
- 解決法を一緒に考える
※相手が何もしていないのに、急に友だちを叩いた場合は
【4.相手の気持ちを考えさせる】から読んでください。
子どもが落ち着くのを待つ
子どもが友だちを叩いてしまったとき、まずは落ち着くのを待ちましょう。
叩いていてしまった子どもは、たいてい感情的になっています。
感情的になっている場合は、大人が何を言っても伝わりません。
まずはクールダウンさせて、感情を落ち着かせる必要があります。
落ち着かせるには、友だち(トラブルの原因)から離しましょう。
別の部屋など、静かな雰囲気の場所で一人になれば、次第に落ち着いてきます。
連れていける部屋がない場合は、部屋の隅(壁側)に連れて行くのもオススメです。
人間は小さなスペースで、壁に触れると落ち着くという習性があります。
保育園など部屋が賑やかな場所では、
仕切りを作って布やカーテンなどを、テントのように被せスペースを確保しています。
子どもはそういった狭くて薄暗い場所があることで落ち着きます。
普段からクールダウンさせる場所を家にも設置しておけば、すぐに対処できますよ。
子どもの話に耳を傾ける
子どもが落ち着いたら、次は子どもの話に耳を傾けましょう。
友だちを叩いたからと言って親が一方的に叱ってはいけません。
子どもが友だちを叩いてしまうのには理由があることがほとんどです。
話を聞けば、友だちが先に嫌なことをしていたって場合もありますよね。
もしもそういった場合に一方的に叱るとどうでしょう・・・
子ども自身が自分のことをわかってもらえなくて、ツライ思いをしてしまう結果になります。
まずは子どもの目線になって、落ち着いて【叩いた理由】を聞いてあげましょう。
【自分の気持ちを相手に伝える】ということは成長段階にとって、とても重要です。
何があったか、どんな気持ちだったか子どもの思いをしっかり受け止めてあげてください。
まだ幼くて言葉がうまく伝えられない子どもの場合は、
周りの友だちに状況を聞いてみるのも一つの方法ですね。
なんで叩いてしまったか、理由がわかれば解決にも繋がりやすくなりますよ。
子どもの気持ちに共感する
子どもが叩いた理由を聞いた上で、次はその気持に共感してあげてください。
「嫌な気持ちがしたね」
「ツラかったね」
こうやって気持ちを受け止めてもらうだけで、子どもは安心感を抱きます。
大人も同じですよね。
友だちとのトラブルで、どうしようもできなくなったら子どもは自然と手が出ます。
いけないことをしたのは子ども自身も分かっているはず。
小さな子どもが一生懸命相手と向き合おうとした結果なので、
気持ちをしっかり受け止めてあげましょう。
叩いた行為を許すわけではありません。
気持ちを共感した上で叩くのはいけないということを伝えましょう。
相手の気持ちを考えさせる
次に叩いてしまった子どもに、相手の気持ちを考えさせる必要があります。
叩かれた友だちはきっとこんな気持ちですよね。
- 叩かれて痛い
- 叩かれて悲しい
- 叩くから一緒にいたくない
頻繁に手が出る子どもは、友だちも自然と離れていきます。
「すぐ叩く子」
「いじめてくる子」
とレッテルを貼られないように、早急に対応する必要があります。
悪いことをしたとわかると、誰しも逃げたくなるものです。
相手の気持がわからないままだと、子どもは叩く行為を繰り返してしまうかも。
相手がどんな気持ちになったか、【考えさせるきっかけ】をつくることが大切です。
言葉が理解できる年齢であれば、相手の子どもと向き合わせ、間に大人が入って仲立ちしましょう。
子どもがうまく言葉が伝えられないときは、大人が言葉を添えてあげるといいですよ。
子どもが叩いたからといって、わからせるために親が叩くのはよくないです。
こういった場合は解決には至らず、
親に叱られるから、今度は親の見ていない場所で、隠れて友だちを叩いてしまうかも・・・
絶対にやめましょう。
解決法を一緒に考える
相手の気持ちを聞いて、いけないことをしたとわかれば、次はどうしたら良いか考えさせましょう。
子どもの言葉を引き出してあげるよう、大人は見守ってくださいね。
大人が一方的に「悪いことをしたんだから謝らなきゃ!」と押し付けると、
子どもは言わされて仕方なく、反省の言葉を口にするでしょう。
大人が言葉を並べて誘導するのでなく、考えさせる機会を設けてください。
仲直りにはしっかり時間をつくることが大切。
子どもが自分で考えて謝ることができたら、しっかり褒めて認めてあげましょう。
子ども同士が【謝る】【許す】という行為ができれば、
次の瞬間にはケロッとして「一緒に遊ぼう」と仲直りできますよ。
暴力的な子どもに悩んだときの相談先は?
子どもの暴力的な行為は、親だけじゃ対処できない場合もありますよね。
そういったときは、一人で悩まず第三者に相談するといいです。
案外どこの家庭も同じような経験があるものです。
決して恥ずかしいことではないので、
子どものことを考えるのであれば、周りに打ち明けてみると解決策も広がりますよ。
暴力的な子どもに悩んだときの相談先をまとめました。
身内に相談する
暴力的な子どもに悩んだら、悩みを打ち明けやすい身内に相談しましょう。
家庭では手がつけられないほどであれば、しばらく祖父母に預かってもらうのもいいでしょう。
子ども自身も環境が変われば、気分転換にもなります。
親自身も余裕が生まれると、子どものことをゆっくり考えられますよね。
頼れる身内はしっかり頼りましょう。
祖父母に相談できない場合は、ママ友や保育園の先生に相談してみるのもいいです。
ママ友は、子育て経験ベテランの人であれば解決策を教えてくれるかも。
同じような悩みを抱いていた人からはリアルな言葉を聞けます。
「皆同じような経験があるんだ」とわかれば、肩の力も抜けるでしょう。
保育園の先生は、日中子どもの様子を把握してくれているので、友だち関係のことや感情の変化を知らせてくれます。
保育のプロでもあるので、園と連携して子どもの成長をサポートできますよ。
地域の子育て支援を利用する
全国の市区町村にある子育て支援を有効利用しましょう。
子育ての様々な悩みの相談に乗ってくれる機関で、必要に応じて適切な対処を行ってくれます。
暴力的な行為が成長してもおさまらない場合は、発達障害も考えられます。
「まさか自分の子どもが…」
と専門機関を利用しようとする人は少ないのが現状ではあります。
しかし専門機関が間に入って、プロの目で子どもを見てもらえば、適切な対処で劇的に子供の様子が変わる場合は多いのです。
今回は大阪市の子育て支援を紹介します。
利用時間
【こども相談センター】
月曜から金曜(祝日を除く)
9:00~17:30
費用
費用は無料です。
問い合わせ先
大阪市こども相談センター 電話:06-4301-3100(担当区:下記の4区を除く20区)
大阪市南部こども相談センター 電話:06-6718-5050(担当区:阿倍野区・住吉区・東住吉区・平野区)
子どもが暴力的になる原因は?
子どもが暴力的になるのには、様々な原因があります。
原因を把握することで、対処できる場合もあるので参考にしてください。
幼児(2・3・4歳の場合)
幼児(2・3・4歳の場合)は、気持ちをうまく表現できずに手が出てしまうことがほとんどです。
自分の思い通りにできないので「泣く」「叫ぶ」「噛む」「叩く」などの行動で、思いを伝えようとします。
もちろん何があったか自分で伝えることも難しいので、
大人が常に見守っておく必要があります。
また「構ってほしい」「見てほしい」という理由で、
こういった行動をわざとすることも。
時間を見つけて子どもをしっかり抱きしめ、安心させてあげるといいですね。
子ども(5・6・7歳の場合)
子ども(5・6・7歳の場合)は、感情をコントロールできず手が出てしまうことあります。
幼い頃から、自分の感情を相手に伝えるのが未熟、または苦手な子どもに特に多いです。
子どもも大人と同様、人間関係や環境からのストレスを感じて生きています。
ストレスを発散できなかったり、自分の感情を表に出せない子どもは、日々イライラがつのります。
それが爆発して感情のコントロールができなくなったとき、
対話ではなく暴力で解決しようとします。
また身体機能の発達とともに行動範囲が広がり活発になります。
エネルギーも有り余っているので、悪気がなくてもつい乱暴になってしまう子どももいます。
生活習慣の乱れ
暴力的な子どもは、生活習慣乱れが大きな原因になっている場合があります。
普段の生活の中でストレスが溜まると、小さなことでもイライラしがちです。
生活習慣を整えるだけで、穏やかになることもあるかもしれません。
食生活
暴力的な子どもは食生活のバランスが乱れている場合があります。
スナック菓子や加工食品、ジャンクフードが多い食事だと【ビタミン】【ミネラル】【カルシウム】が不足します。
ビタミン・ミネラル・カルシウムが不足すると、体の成長に悪影響を及ぼします。
それだけでなく神経が過敏になり、イライラしやすくなるといった症状を引き起こす可能性があります。
また人間はお腹が空くとイライラしやすくなりますよね。
1日3食しっかり食べて、バランスの良い手作りの食事を心がけることが大切です。
甘いものを欲した場合は果物を与えましょう。
ビタミンやミネラルも補えます。
睡眠不足
暴力的な子どもは、睡眠不足が原因の場合があります。
朝寝ている子どもを起こすと、たいてい不機嫌ですよね。
逆によく眠って、自然に目が覚める子はスッキリとして、朝から機嫌も良かったり。
朝遅く起きて、夜遅くまで起きていると生活のリズムが乱れて寝不足を招いてしまいます。
早寝早起を心がけて、太陽の光で自然と起きられるようにしましょう。
朝早く起きて、日中しっかり活動すれば夜は自然と早く眠くなりますよ。
家庭環境
暴力的な子どもには家庭環境に原因がある場合もあります。
子どもは親をよく見て真似していますよね。
子どもにこうなって欲しいという思いがあれば、まずは大人自信が一度自分を見つめ直してみると良いかも。
親が怒りっぽい
親が普段からイライラして怒りっぽいと、子どもも同じように怒りっぽくなります。
しかられたとしても、親の姿を見ていますから何度も繰り返します。
親は怒りっぽいと、理由を話さず何にでも
「ダメ!」
「怒るよ!」
と感情を押し付けがちですよね。
子ども自身は何で怒られているかわからず、とりあえず「ごめんなさい」で済ませるでしょう。
そうなると徐々に怒られるのにも慣れていき、親と同じような乱暴な行為を繰り返します。
特に大人はやっているのに、子どもには理由も言わず「ダメ」と言う親は、
子どもが次第に言うことを聞いてくれなくなります。
何がダメなのか、理由を伝えると子どもも理解します。
理由がわかれば同じ行為はしなくなるので、子どもの目線になっていけない理由を伝えましょう。
親のしつけが厳しすぎる
親のしつけが厳しすぎると、子どもが暴力的になる場合があります。
しつけが厳しい親は、自分の感情で子どもを押さえつけてしまいます。
子どもは否定的な言葉をかけられ続けると、自信をなくし自尊心が低下してしまいます。
そうなると自分の思いを伝えられなくなり、溜め込んでストレスを抱えてしまうでしょう。
思いを吐き出せないと、ストレスがピークに達したとき感情が爆発し、暴力的になってしまう可能性があります。
親が過保護すぎる
親が過保護すぎると、子どもが暴力的になる場合があります。
過保護の親は子どもに対して甘いので、
「言うことを全て聞いてもらえる」
「何をしても許してもらえる」
といった認識をしてしまいます。
また我慢ができなくなるので、【わがまま】になりやすいです。
友だちより自分が優位に立っていると認識すると、弱い者いじめをする可能性も高くなるでしょう。
子どもとしっかり向き合う
友だちを叩いたら軽く見逃すのでなく、必要に応じ大人が間に入り【自分の気持ちを言葉で伝える】【相手の気持を考える】ことを大切にしていきましょう。
こういった経験が子ども成長にとって重要になってきます。
幼い頃に見逃すと、成長するにつれて手がつけられなくなってしまう可能性も…。
トラブルにならないようにするのでなく、トラブルになったときどう対応するか。
子どもの内から経験を積み、徐々に大人がいなくても
自分たちで解決できる人間に育てていくことが大切だと思います。
とはいっても子育てって難しいですよね。
厳しすぎても甘やかしすぎてもダメ。
親自身が潰れてしまわないように、相談できる相手を見つけて少しでも肩の力を抜いていけるといいですね。