子どものチック症、その原因と治療法について
つい最近、テレビ番組で子どものチック症が取り上げられました。
そのことによってチック症に関心を持つ親が増えたようです。
もしかして我が子の癖は、単なる癖じゃなくてチック症なのかも?
我が子がチック症かもしれないけど、親はどうしたら良いの?
このような疑問を持つママも増えているはずです。
チック症は初期の治療が重要です。
誤った対応は子どものチック症を悪化させてしまうようです。
このページを読んで、チック症とは一体何か?原因は一体何なのか?治し方は?などを知りましょう。
このページの目次
チック症ってどんな病気?
そもそもチック症とは一体どんな病気なのでしょうか?
チック症とは一見すると「癖」のような行動を、無意識のうちに繰り返してしまう症状を言います。
癖で片付けられるのであれば問題ないように思えるかもしれませんが、悪化すると自傷行為を繰り返してしまう場合もあります。
また人前で大きな声で叫んでしまったり、汚い言葉を使ってしまったりと、普通の生活が送れなくなる場合もあります。
このチック症は、大人になってから発症する人よりも、子どもの時に発症する人が多いようです。
具体的には、乳幼児期(2歳ぐらい)から学童期(8歳ぐらい)に発症することが多く、年を重ねるごとに改善される子もいれば悪化してしまう子もいます。
どんな子どもがチック症になりやすい?
実はチック症にはなりやすい子と、なりにくい子がいるとされています。
チック症は軽いものも含めると、「全子どものうち10%から20%」が発症すると言われています。
こう言われてみると非常に多い病気ですね。
そして性別に差があり、女の子に比べて男の子の方が発症する確率が高く、その差は「3倍」と言われています。(女1:男3)
さらに性格や、生活スタイルも影響しているようです。
おとなしく優しい性格の子どもがチック症になりやすく、不安や緊張を感じやすい生活スタイルを送っている子どもも、チック症になりやすいとのこと。
最後は遺伝です。
家族や兄弟姉妹にチック症の人がいる場合、本人もチック症になる可能性が高まります。
ですので最もチック症になりやすい状態と言えるのは、
- 優しい
- (引っ越しなどで)緊張する生活を送っている
- 家族の誰かがチック症
- 男の子
と言えます。
子どものチック症でよく見られる症状
チック症が原因で起こしてしまう行動(症状)には共通点があります。
ここではチック症の症状を「運動性のもの」と「音声性のもの」に分けて書いてみます。
運動性チック症
運動性チック症とはチック症の中でも「行動」に現れる症状です。
- まばたき
- 鼻をピクピクさせる
- 鼻をならす
- 口をゆがめる(すぼめる)
- 口周りを舐める
- 顔をしかめる
- 頭をねじる
- 首を回転させる
- 肩をすぼめる
- 飛び跳ねる
- 体をぶつける
これら全ての症状が発症するわけではありません。
またこれら以外の行動が現れる場合もあります。
複数または一つのみ発症する場合もあります。
音声チック症
音声チック症とはチック症の中でも「声」に現れる症状です。
- 咳払い
- アッやオッと発声
- かん高く短い発声
- 大声を出す
- 汚い言葉を使う
- 性的な言葉を使う
これら全ての症状が発症するわけではありません。
またこれら以外の行動が現れる場合もあります。
複数または一つのみ発症する場合もあります。
運動性のものと音声性のもの両方発症してしまう場合もあります。
両方発症する場合は「トゥレット症候群」と呼ばれます。
「トゥレット」とはチック症を発見した、「ジル・ドゥ・ラ・トゥレット博士」にちなんで名付けられました。
子どものチック症の原因は?
チック症は一体何が原因なのでしょうか?
チック症の原因は今まで「心理的なもの」と言われていました。
ストレスや精神的に弱い子がなるものと考えられていたのです。
しかし、最近はこの考えは違ってきています。
現代ではチック症の原因は下記とされています。
遺伝
チック症の原因は遺伝であるとする説が今最も有力です。
なぜ心理的なものから遺伝の説の方が有力になったかと言いますと、
チック症になりやすい家系と言うのが存在するとわかったからです。
特に脳の「大脳基底核」と言う部分に、何らかの障害があるのではないかと言われています。
ドーパミン
また、脳から分泌されるドーパミンの過剰な分泌が、チック症に影響しているとも言われています。
ドーパミンの分泌は遺伝による影響が多いため、これもまた遺伝が原因と言えます。
ストレス
しかし「ストレス」や「緊張」などの心理的なものも、チック症の大きな原因となります。
チック症を発症する可能性を持った子どもが、ストレスがきっかけとなりチック症を誘引してしまうのです。
どのようなストレスがチック症を誘引してしまうかと言いますと、「学校の転校」や「習い事の強制」などです。
チック症によって起こしてしまう症状を親が怒ってやめさせることで、さらにストレスが高まると言う悪循環もあります。
チック症状を改善するためには、怒ってはいけません。
悪化の原因となってしまいます。
子どものチック症は治るの?
子どものチック症は治るのかどうかですが、子どものチック症は治ります。
ただ、「完治」と言うと違和感があります。
と言うのも、一見治っているように見えても、いつ再発するかわからないからです。
しかし本人も周りも、完全にチック症だったことを忘れるぐらいに治ることは可能です。
ちなみに大人のチック症は子どものチック症に比べて治すことが難しいと言われています。
なぜなら大人のチック症は、子どものチック症が治りきらず慢性化してしまった人が多いからです。
初期のチック症が子ども期に現れるとすれば、大人のチック症は後期のチック症とも言えるのです。
ですので、チック症を治すには子どもの時から適切な治療方法を行う必要があります。
子どものチック症の治療方法
子どものチック症を治療するには、一体どのような方法があるのでしょうか?
また、子どものチック症を治すには初期の治療法が重要と書きました。
逆に言うと初期の治療法を誤るとチック症は慢性化してしまいます。
やってはいけない治療法がありますので、こちらもまとめます。
病院で行う治療法
チック症かどうか判断をするために、そしてチック症であった場合適切な治療法をするために、チック症かも?と思ったときは病院で診てもらいましょう。
「まばたきが少し多いだけ」であっても、チックは進行してしまう病気ですので、早めの受診が重要となります。
自己判断で放置したり、後述するように「癖を怒ること」は絶対に避けましょう。
生活指導
チック症の疑いで診察を受けた場合、その時点で重篤なチック症で無い限り、生活指導で治療していく方向になります。
チック症の原因の一つとしてストレスがあります。
ですので、ストレスの解消がチック症を改善する一つの方法になります。
また多くの場合は、チック症を指摘せず、親は見て見ぬふりをすることを指導されます。
指摘される事自体がストレスになるからです。
投薬治療
生活指導だけでは収まらない場合、また生活指導と同時に投薬による治療が行われる場合もあります。
チック症の場合は下記の薬が処方されることが多いです。
【クロナゼパム】
神経を落ち着かせ興奮を抑える効果があります。
【ハロペリドール】
ドーパミンの働きを遮断する効果があります。
【エビリファイ】
こちらもドーパミンの働きを遮断する効果があります。
やってはいけない治療法
子どものチック症を治すためにやってはいけないことがあります。
癖をやめるよう怒る
チック症の子どもは、ほとんどの無意識のうちに癖を繰り返しています。
親からすれば奇妙な癖をやめて欲しいので怒ってしまいますが、怒ってやめさせるようなことは禁止です。
チック症の原因は何度も言いますように、「ストレス」が一つとなっています。
子どもは何も、周りを困らせようとして、まばたきを繰り返したり大声を出しているわけではありません。
そこを分かってあげましょう。
家でチック症の行動が見られた場合は、何事もなく無視することが一番です。
病院でもこの方法が進められることが多いです。
チックの症状を無視しているうちに、いつのまにか収まることが多いです。
収まらないようでしたら病院で診てもらいましょう。
まとめ
チック症はまだまだ謎が多い病気です。
その分、子どもは陰口や謂れのない非難を浴びたりで苦労することが多い病気です。
チック症は大人よりも、子どもの方が治療しやすいと言われています。
多くの場合は歳を重ねるにつれ自然と癖は無くなっていきますが、チック症の人がよくする行動が目についた場合は気軽に病院で診てもらいましょう。
子どもの多くが発症する症状ですので何も気にすることはありません。
先生も診察は慣れているでしょう。
最後に、チック症が発症した事による「癖」を怒って指摘することは絶対に止めましょう。
子どもは癖をやりたくてやっているわけではありません。
チックは遺伝です