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養育費が支払われない時は給料の差し押さえをしよう!その方法を解りやすく解説しました。

電卓とお金と通帳

離婚の取り決めで、毎月支払われるはずだった養育費が支払われなくなったときは、本当に困りますし不安になりますよね。

相手に未払いの養育費をきっちり払ってもらうために、「給料の差し押さえ」という方法があります。

給料の差し押さえに成功すると、会社から養育費を支払わない者へ「給料が振り込まれる前」に、自動的に養育費が支払われます。

ですが「給料の差し押さえ」について調べても、難しい専門用語や説明ばかりで理解しにくいことが多いのが現状です。

ここではそんな困っているママのために、給料を差し押さえて養育費を支払わせる方法を解りやすく解説させていただきます。

養育費を払わない人はとても多い

からっぽの財布
離婚をした後のトラブルで1番多いのは、子どもの養育費未払いの問題です。

離婚するときは「養育費をいくら払う」と約束していても、実際のところ養育費をきっちり払っている人は、たった2割程度と、かなり少ないのが現実です。

そもそも養育費は、子どもを育てていく上で欠かせないものであり必要なお金です。それなのに離婚後に養育費を払わないということは、決して許せる行為ではありません。

実際にアメリカでは、養育費を支払わなければ指名手配犯のように街中に顔写真が貼り付けられます。養育費を支払わないということはそれだけ重い罪なのです。

養育費が支払われないとき、大半のママは養育費を諦めてしまいますよね。

なぜなら今の日本で、養育費の支払い意思がない人から養育費をもらうには、非常に手続きが厄介だからです。

そうなってしまうと養育費の未払いは逃げた者勝ちですよね。諦めてしまうからこそ2割程度の人しか払っていないとも言えるのです。

ですがこのままでは、母子家庭になったママと子どもの生活が苦しくなるだけです。

養育費の強制執行がしやすくなった

養育費の支払いを断念する人が減るように2004年に法改正が行われました。

具体的には、養育費の支払いを滞納したときは、未納分に溯った金額と、将来支払い分まで継続的に相手の給与を差し押さえることができるようになりました。

つまり、未納になった月の養育費から、離婚のときに取り決めた期間までの養育費を、毎月相手の給料から支払いして貰えるようになるのです。

しかしこの給料の差し押さえも手続きは厄介で、具体的な給料の差し押さえ方法を知っている一般のママは、なかなかいないと思います。

強制執行で給料の差し押さえをしよう

怒っている女の人
子どもを育てていく為に必要な養育費なので、何が何でも支払って貰う必要があります。そこで出来るのが「強制執行で給料の差し押さえ」です。

養育費が未納になった場合は、強制執行の手続きをすることで、相手の給料を差し押さえることが出来るようになります。

強制執行で差し押さえできるもの

強制執行とは、簡単に言うなら差し押さえることを言います。
強制執行で差し押さえできるものは

  1. 債権
  2. 不動産
  3. 動産

この3つがあげられます。

【債権】
債権というのは、給料や預貯金のことを言います。

【不動産】
不動産とは、建物や土地などの動かない財産のことを言います。

【動産】
車や宝石などの財産のことを言います。

給料の差し押さえが1番おすすめ

強制執行の手続きをする中で、1番簡単なのが債権にあたる、「給料の差し押さえ」です。

なぜなら不動産は手続きが面倒で、数十万円といった多額の費用がかかります。動産も物ですのでお金がもらえるわけではありません。

養育費として物を差し押さえるよりは、給料を差し押さえて現金を貰えることのほうが、母子家庭にとっては非常に助かります。

ですので、養育費が支払われなくなったママに1番オススメするのは、給料の差し押さえです。

給料の差し押さえをするとどうなる?

給料の差し押さえをすると、裁判所から相手の勤務先に対して「債権差押命令(給料の差し押さえ)」が出されます。

相手の勤務先が給料を支払う時に天引きして、養育費をこちら側に振り込みをしてくれるようになります。

しかも、1度この手続をすると、今後はずっと相手が勤めている会社が、養育費を給料から天引きして振り込みされるようになるので、毎回養育費の未払いで不安になることはないのです。

差し押さえできる金額はいくら?

給料を差し押さえることが出来るといっても、全額の差し押さえが出来るわけではありません。

相手にも生活がありますので、最低限度の生活が保障されていて、差し押さえできる金額にも限度額があるのです。

養育費や婚姻費用以外の理由で給料が差し押さえられた場合は、給料(税金、社会保険、通勤手当などを差し引いた額)の4分の1まで差し押さえすることが可能です。

ですが、養育費や婚姻費用の場合は給料の2分の1まで差し押さえが可能となっています。(例1参照)

また、税金などを控除した給料の金額が66万円以上の高所得者の場合は、33万円のみが相手に支払われ、残りの給料を全額差し押さえることが可能になります。(例2参照)

【例1】
グラフ
(控除後の給料が66万円を超えない場合)
給料24万円の場合は半分にあたる12万円が差し押さえ可能

【例2】
グラフ
(控除後の給料が66万円を超える場合)
給料100万円の場合は67万円が差し押さえ可能
給料75万円の場合は42万円が差し押さえ可能

ちなみに相手が役員報酬をもらっている場合は、役員報酬全額の差し押さえが出来ます。

つまり役員(代表取締役や幹部職員など)には最低限度の生活が保障されていないということなのですね。

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給料の差し押さえ前に確認しておくこと

チェック項目
相手の給料を差し押さえるために、事前に確認しておくことがあります。

債務名義を確認

まず、給料の差し押さえをするには債務名義が必要です。

債務名義とは簡単に言うと、債権(養育費や慰謝料などを請求する権利)が存在することを証明してあり、強制執行を行っても良いと裁判所が許可した書面のことです。

債務名義となる書類にはいくつか種類があります。下記の書類のどれか一つがあるか確認しましょう。

【裁判離婚の場合】
確定判決書または和解調書→裁判にて離婚が決定した場合は、養育費などの取り決めを書面にしたものを裁判所からもらいます。裁判の確定方法によって違うのですが、確定判決書または和解調書と言います。

【協議離婚の場合】
公正証書→話し合いで離婚することが決まったときに、取り決めた養育費の支払いなどを公証役場で書面として作成したものを公正証書と言います。

【調停離婚の場合】
調停証書→調停離婚の場合は、養育費などの取り決めを書面にしたものを裁判所から貰います。これを調停証書といいます。

上記のうちの1つでもあれば債務名義となり、強制執行が可能な理由となります。

ですがこれらがないママも居ます。例えば一筆をしたためたものや、書面ベースではない例えば口約束などです。

このような場合でも、「債務名義がない」と諦める必要はありません。

離婚した後にでも、公正証書を作ることはできます。

ですが、公正証書を作るには相手の合意も必要ですし、公証役場に一緒に行かなくてはいけません。養育費が滞っているわけですし、スムーズに公正証書を作ってくれるとは思えませんよね。

このような場合は、家庭裁判所にて養育費請求の調停・審判の申立てをしましょう。

養育費の支払いを決め直すことができますし、判決が出ましたら調停証書が手に入るので、滞った時には給料の差し押さえが可能になります。

相手の会社の住所確認

給料を差し押さえるには、相手の勤務先の住所が必要です。離婚前と職が変わっていなければ、相手の勤務先を把握できるママは多いと思います。

ですが相手が転職している場合もあります。このような場合は、相手の勤務先を調べる必要があります。相手の住所がわかるなら財産開示手続きをすれば、勤務先や収入がわかります。

給料の差し押さえに必要な書類と手続き

裁判所
まず給料の差し押さえの手続きをする裁判所は、原則相手の住所地を管轄する地方裁判所と法律で定められています。

ですが裁判所によっては、給料の差押えを取り扱っていないところがあります。

ですので手続きをする裁判所が分からないときは、お住いの都道府県の裁判所に電話で問い合わせてください。

【全国の裁判所一覧】
http://www.courts.go.jp/map_list/index.html

こちらからも裁判所が検索できますので参考にしてみてください。

それではまず給料を差し押さえる手続きのために必要な書類を集め、給料差し押さえの手続きをしていきましょう。

執行文を受け取る

執行文を受け取りに行きます。

執行文を受け取る手続きをする場所は、お持ちの債務名義によって違います。

【裁判離婚の場合】
債務名義:確定判決書、和解調書
場所:離婚裁判をした家庭裁判所

【協議離婚の場合】
債務名義:公正証書
場所:公正証書を作成した公証役場

【調停離婚の場合】
債務名義:調停証書
場所:離婚調停をした家庭裁判所
(調停証書の場合執行文は必要ない場合がありますので家庭裁判所で確認してみてください。)

債務名義の正本送達と送達証明書を発行する

強制執行をする前に、給料を差し押さえる相手に対して、債務名義の正本を送り強制執行するということを相手に通知します。

この手続きのことを、債務名義の正本送達といいます。正本送達を行う場所は、債務名義とするものの種類によって場所が異なります。

【確定判決書・和解調書・調停調書が債務名義の場合】
裁判や調停をした裁判所や家庭裁判所で、正本送達の申請をします。

【公正証書が債務名義の場合】
公正証書を作成した公証役場で、正本送達の申請をします。

そして正本送達の手続きをすると、「債務名義を相手に送達した」ということを証明する送達証明書が発行されます。

強制執行の手続き

手続き

養育費を強制執行する手続きについて、まず簡単に流れを説明します。

  1. 必要書類を集める
  2. 裁判所に申立て
  3. 裁判官が相手に債権差押命令を発令
  4. 裁判所が会社と相手に債権差押命令正本を発送
  5. 裁判所が債権差押命令正本を責務者に発送
  6. 相手の会社に連絡して差し押さえた給料の振込先を決める

この手続は弁護士に依頼することも出来ますが、費用はだいたい10万円前後かかります。

10万円って結構な費用で、母子家庭には厳しいものがあります。ですが、書類さえ揃っていればママ1人でも手続きは出来ます。それほど難しい手続きでもありませんし、わからないことは裁判所に電話すれば親切に教えて貰えます。

集める必要書類や費用

強制執行し、給料を差し押さえるために必要な書類はこちらです。

    【必要書類】

  1. 強制執行の申立書
  2. 請求債権目録
  3. 差押え債権目録
  4. 当事者目録
  5. 申立書の目録部分のコピー
  6. 相手の勤務先の登記簿謄本
  7. 封筒(宛名付)
  8. 債務名義(執行文付)
  9. 送達証明書
    【費用】

  1. 申立手数料:収入印紙4,000円
  2. 郵便切手代:(裁判所によって異なります。)

裁判所に申し立て

先程記載した、必要書類や費用を1つにまとめて裁判所に提出します。記載漏れや書類の不備がないように注意してくださいね。

裁判所に提出したら次のような流れで進みます。

[1]裁判所に申し立てる

[2]裁判官が債権差押命令の発令をする
提出した申立書に不備がなければ、裁判官から債権差押命令が発令されます。

[3]相手の会社へ債権差押命令正本発送
債務者(相手)に給料を支払っている会社に、裁判所から債権差押命令正本が発送されます。

[4]債務者(相手)へ発送
[3]で発送した郵便物を会社が受け取った後、裁判所から債務者(相手)に、債権差押命令正本が発送されます。

[5]債権者(あなた)への郵送
裁判所から債権者(あなた)宛に、債権差押命令正本が発送されます。

[6]債権者(あなた)が会社に取り立て
債務者(相手)に債権差押命令正本が届いてから一週間後に、債権者(あなた)が第三債務者(相手に給料を支払っている会社)に直接連絡をし、差し押さえた給料の振込先を取り決めます。

裁判所は命令を出してくれますが、仲介などは一切おこないません。ある程度相手の情報を集めたり相手の会社に電話したりなどは、ママ自身が行わなければなりません。

しかし1度この手続さえしてしまえば、今後は何の手続きもなく相手の会社から毎月養育費が支払われるようになります。

履行勧告と履行命令

ビックリマーク
履行勧告と履行命令とは、養育費を払わない相手に向けて裁判所から通知を出すことが出来る制度です。

ちなみにこの制度は、裁判離婚または調停離婚した人が利用できる制度ですので、協議離婚した人は公正証書があったとしても利用できません。

この制度はとても簡単ですので、給料差し押さえ手続きをする前に、この制度を利用する人は多いです。
(給料差し押さえをするまでもなく、履行勧告または履行命令で支払う人も多いようです。)

履行勧告

履行勧告とは、裁判所から「養育費を払いなさいよ」というメッセージを送ることです。

勧告だけですので裁判所からのお告げのようなものです。つまり強制力はありません。

ですが裁判所からの通知ですので、勧告が届くことによって緊張感や圧迫感は感じるもので、養育費を支払うようになる人が多いようです。

しかもこの履行勧告の手続きはとても簡単で、電話1本でできます。

裁判や調停を行った家庭裁判所に電話をし、事件番号(債務名義に書かれている番号)を伝えて、履行命令を出したいと言うだけで大丈夫なのです。

費用は無料ですので、まずは電話してみましょう。

履行命令

履行命令とは、簡単に説明すると、裁判所から「養育費を払いなさい!」という命令をしてくれます。命令に従わない場合は、10万円以下の罰金が課されます。

つまり、養育費をきちんと支払いしないなら、10万円以下の罰金を払わなければならないですよ、ということです。

この場合、相手が養育費を支払わなくても、強制的に取り立てができる方法ではありません。

しかも10万円以下の罰金は裁判所に支払うものなので、ママの手元に入るお金ではありません。

履行命令の手続きは、裁判や調停を行った家庭裁判所で申し立てをします。ちなみに、手数料として500円かかります。

まとめ

子どもと母親
離婚をする際、養育費を取り決めていても、ちゃんと支払いをする人は実際のところほんのわずかです。そうなった時、相手の給料を差し押さえて、養育費を貰いましょう。

1度手続きをすれば、将来の養育費分が相手の会社からママ側に振り込みされます。

色々書類を集めないといけないので、面倒に思うママもいるかと思いますが、弁護士に頼むと費用がかかってしまいます。

1人でも出来ない手続きではありませんので、解らないことは裁判所に聞きながら書類を集めて申し立てをしましょう。

「自分でやるのは不安…」
と言う方は、弁護士無料紹介サービス「日本法規情報」に問い合わせましょう。
自分の悩みに合った弁護士を無料で教えてくれます。

調停離婚や裁判離婚の場合は、履行勧告と履行命令の制度を利用することができるので、給料差し押さえの前にこの制度を申し立てるのも1つの手ですね。

子どもを育てていくうえで、養育費は大事なものなので、泣き寝入りせずきっちり取り立てましょう。


離婚で損をしたくないなら調停離婚がオススメです。

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ママライターR

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子育てペディア編集長のRと申します。小学3年生の息子と小学6年生の娘を持つ2児の母(34歳)です。私の子育て方針は「のびのび」です♪子供の自我を抑え込み過ぎず、心の広い寛大な子供に育つよう心がけています。

コメント

  1. ししゃも より:

    最初は履行勧告が良さそうですね。
    電話したら少しずつ強制執行に必要な資料を集めていこうと思います。

    1. ママライターR ママライターR より:

      ししゃも様
      コメントありがとうございます。
      強制執行の前には履行勧告が良いと思います。
      「勧告」という文字に驚き支払いをするようになる人もいるようですよ。

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