損しない離婚方法なら調停離婚がおすすめ!離婚調停の手続きや流れをまとめました。
離婚することが決まった場合、どうせ離婚をするのなら「得」をして離婚をした方が良いに決まっています。
離婚するにも、方法はいろいろありますが、逆に言うと「損をしないため」にはどんな離婚方法がいいのでしょうか?
養育費や財産分与のことで夫婦間の意見が一致していれば、協議離婚で済みます。離婚にかかる時間も労力もかからないので精神的負担が少なく済みますから楽ですね。
ですが、今回ここでオススメするのは調停離婚です。調停離婚をするには、離婚調停をしなければなりません。
なぜわざわざ離婚調停をすることがオススメなのか?そして離婚調停を申し立てするために必要な手続や、調停が始まったときの簡単な流れをご紹介します。
このページの目次
離婚調停とは
離婚調停とは、夫婦間で離婚についての話し合いができないときや話が進まないようなときに、裁判所に間に入ってもらい離婚協議を進めて、話し合いをする手続きのことです。
離婚について話が折り合わない夫婦が離婚の話を進めるために、第三者にあたる調停員が間に入ってくれます。
ちなみに離婚調停は正式には「夫婦関係調整調停」と言います。略さずに文字を見ると、その役割がよくわかりますね。
調停離婚がおすすめな理由
離婚調停をするためには、色々と煩雑な手続きをしなければならないので面倒ですよね。
わざわざ裁判所に出向かなければなりませんし、仕事をしている夫婦なら仕事を休んだり、遅刻してでも行かなくてはなりません。
ですが損をしないためにも、離婚するには調停離婚がオススメなのです。なぜ手続きが面倒にも関わらず、調停離婚がオススメかと言うといくつか理由がありますので記載します。
話し合いが進みやすい
夫婦2人で話し合うと、ついつい感情的になってしまうことがあります。養育費や慰謝料など、お金の問題が絡むとなおさら話が進まないことも…。
話が進展しないことで、離婚を急ぐ人が不利な条件でも離婚に応じてしまうのです。
このように離婚の話が進まないとき、中立の立場の調停員が間に入ることによって、離婚の話が通常よりスムーズに進みやすくなることがあります。
第三者が間に入ることで、気持ちが落ち着き冷静な判断をすることが出来るのです。
公正証書より効力のある調停調書が貰える
慰謝料や養育費を取り決めて協議離婚をした場合、公証役場にて「公正証書」を作成する夫婦もいれば、公正証書を作成しない夫婦もいます。
この公正証書は、法律の専門家が証人となって作成する公文書のことです。
調停離婚をすることで貰える「調停調書」も公正証書と同様で、慰謝料や養育費の取り決めを調書に記載されている書面です。
調停調書は裁判所にて作成されているものでもあり、公文書より法的に効力のある書類となります。
協議離婚で離婚が成立した夫婦で、公正証書を作成していなかった場合で、養育費や慰謝料が滞ったときに「あのとき公正証書をつくっておけばよかった」と、後悔するママが多いのです。
調停離婚をしておくと必ず調停調書がもらえるので、「効果の強い書類が必ずもらえる」という意味でもオススメと言えます。
履行勧告、履行命令ができる
子供がいる場合は養育費、夫婦だけの場合でも慰謝料を、離婚するときに取り決めることが多いです。
しかし、実際に養育費と慰謝料を真面目に払い続けているという人は非常に少なく、養育費は約8割の人が支払っていません。
「支払われないから」と言って泣き寝入りをする必要はありません。養育費や慰謝料の支払いがを滞った場合、強制執行を行い給料や財産を差し押さえることが出来るのです。
強制執行で給料を差し押さえることが出来れば、養育費の支払いは担保されます。しかしその分、手続きが非常にややこしいことが問題です。
そんなときに便利なのが、調停離婚をしたときのみに許される、「履行勧告と履行命令」と言う制度です。
この2つは、調停離婚(裁判離婚でも利用可能)をしてるからこそ利用できる制度で、協議離婚で公正証書を作っていたとしても利用できません。
履行勧告や履行命令に強制力はないものの、ママが「お金を払って」と言うよりも裁判所から「払いましょう」と勧告を受けるほうが圧力を感じるので、滞っている費用を支払うようになる人も多いのです。
手続きのややこしい給料の差し押さえに頼らずとも、もう少し簡単な履行勧告と履行命令を使えるのは、調停離婚のメリットと言えるでしょう。
履行勧告の手続きや費用については、こちらの記事で詳しく書いていますので参考にしてみてください。
養育費が支払われない時は給料の差し押さえをしよう!その方法を解りやすく解説しました。
調停期間中に夫婦間が修復することもある
離婚調停というものは、スムーズに話が進むこともあれば時間がかかってしまうこともあります。
この調停期間にまれではありますが、夫婦仲が修復して離婚を思いとどまる夫婦もいます。
その理由としては、離婚するつもりで離婚調停を申し立てたものの、時間が経つにつれその感情が収まってくることによるものです。
それに夫婦のどちらかが離婚したくない場合、その事を夫婦間の間に入って話をすすめる調停員に伝えることで、仲裁に入ることもあるのです。
離婚調停のデメリット
先ほどは調停離婚がオススメである理由を書きましたが、調停離婚のデメリットも少しですがあります。
次に調停離婚のデメリットを書いていきます。
時間がかかることがある
早く離婚したい夫婦にとって、離婚調停は手間と時間がかかります。
離婚調停を申し立てるためにも、必要書類を集めたり、記入したりと手間がかかります。そして、やっと離婚調停が始まったかと思えば、離婚が成立するまでにも時間がかかります。
早ければ1回の調停で離婚が決まることもありますが、大体の調停は何かと揉めますので、1回では済まず半年以上かかる事がほとんどです。
長い人の場合数年かかってしまうことも…。
それに調停を行っている家庭裁判所では、1日に何件もの離婚調停を行っています。それゆえに調停の日にちは順番ということになるので、夫婦が調停をできるのは月に1回程度です。
混み合っている時や、年末年始が重なったり、夫婦間の日程の調整が出来ない時は、2か月先になることもあり時間がかかってしまうのです。
さっさとケリを付けたいという人は、少しの我慢が必要ですね。
話が折り合わないこともある
離婚調停は第三者の調停員が間に入り話を進めてくれるのですが、あくまでも夫婦の意見を代弁してくれる立場です。
もちろん非常識なことを夫婦のどちらかが言えば、調停員も意見してくれるのですが、その意見には強制力もなにもありません。
ですので、ずっと夫婦の意見が平行線の場合は、調停を行ったとしても離婚が成立しないのです。
離婚調停の申し立て方法
見てきたとおり、離婚調停にはメリットもデメリットもあります。しかし、メリットの方が大きいように見えませんか?
次は、そんな離婚調停の申し立て方法を記載します。
申し立てる裁判所
離婚調停を申し立てる場所は、どこの家庭裁判でも良いわけではありません。
原則として離婚調停をする場所は、相手方の現在住んでいる地域を管轄する裁判所になります。
例えば申立人が大阪府に住んでいて、相手方が兵庫県に住んでいる場合は、兵庫県の家庭裁判所ということになります。
ですが夫婦間で合意がある場合は、お互いの中間地点にある裁判所で離婚調停を行うこともできます。
必要書類
離婚調停の申し立てに必要な書類は下記の通りです。これらの書類を用意し、管轄の家庭裁判所にて離婚調停の申し立てをしましょう。
- 夫婦関係調整調停申立書
- 事情説明書
- 照会回答書
- 連絡先等の届出書
- 申立人の戸籍謄本
- 相手の戸籍謄本
- 年金分割についての調停を含む時は年金分割のための情報通知書
【夫婦関係調整調停申立書】
夫婦関係調整調停申立書は、最寄りの家庭裁判所の受付に行けば説明書と一緒に貰うことが出来ます。
または裁判所のホームページで入手して、印刷をして使うことも出来ます。
夫婦関係調整調停申立書のダウンロードはこちら
記入例もこちらにあります。
【事情説明書】
事情説明書には、どうして調停するに事になったかや現在の財産状況などを記入します。この書面は相手方が申請をすると、閲覧やコピーが可能になることがあります。
事情説明書のダウンロードはこちら
記入例もこちらにあります。
【照会回答書】
照会回答書は調停を進めるために参考とするものなので、調停を申し立てる前にちゃんと話し合いしたことがあるかや、申立人の現在の思っている事などを記入します。
この書面は原則として相手方が見たりコピーすることは出来ないことになっています。
照会回答書のダウンロードはこちら
記入例もこちらにあります。
【連絡先等の届出書】
連絡先等の届出書は、申立人の住所や勤務先などを記入します。
連絡先等の届出書のダウンロードはこちら
記入例もこちらにあります。
【申立人の戸籍謄本】
申立人の戸籍謄本は、申立人の本籍地の役所で取得が可能です。遠方の場合は、郵送にて取り寄せが可能です。
【相手方の戸籍謄本】
相手方の戸籍謄本は、相手方の本籍地の役所で取得が可能です。遠方の場合は、郵送にて取り寄せが可能です。
【年金分割についての調停を含む時は年金分割のための情報通知書】
離婚時の年金分割とは、離婚していたとしても、年金を受給する年齢になった時に婚姻期間があったことで相手の年金が貰えるようになる制度です。
この手続きを離婚調停で同時に行う場合は、年金分割のための情報提供通知書が必要となります。
厚生年金であれば日本年金機構、公務員であれば共済組合に「年金分割のための情報提供請求書」を提出すれば取得できます。
離婚調停にかかる費用
離婚調停の申し立てにかかる費用はこちらです。
- 収入印紙1,200円分
- 連絡用の郵便切手
【収入印紙1200円分】
離婚調停の申し立てにかかる手数料は1,200円です。収入印紙1,200円分を購入し、夫婦関係調整調停申立書に貼ります。
この手数料は申し立てをする初回にだけかかるもので、調停が開催される度にかかる費用ではありませんのでご安心ください。
【連絡用の郵便切手】
連絡用の切手は、郵送時に使う切手になります。
申し立てる裁判所によって金額は違いますので、申し立てをする家庭裁判所にて確認ください。
離婚調停中にかかる費用
離婚調停中にかかる費用はこちらです。
- コピー代
- 交通費
【コピー代】
調停中に通帳や、所得証明書などをコピーすることがあります。この費用は各自実費になります。
調停の最中にコピーを依頼されることもありますが、裁判所内にコピー機がありますので調停員の人が案内してくれます。
【交通費】
裁判所に行くまでの電車賃やガソリン代は実費になります。
裁判所には大体駐車場があるのですが、台数が限られていることもあり満車になると停められないことがあります。
そのような場合、調停に遅刻するわけにはいきませんので、実費でコインパーキングに停めなくてはいけません。
離婚調停が成立した時にかかる費用
離婚調停が成立したときにかかる費用は、離婚調停を申し立てした側が払います。
- 調停調書謄本
- 送達費用
【調停調書謄本】
離婚届を出す時や、年金分割手続をするときに調停調書謄本(省略謄本)が必要になります。1枚あたり150円で、離婚が成立した日に収入印紙で納付します。
【送達費用】
調停調書正本を手に入れる時に、申立人と相手方のに送達の手続きが必要になります。その郵送代が大体1,000円前後です。
離婚調停にかかる費用は合計5,000円程と考えておきましょう。
離婚調停の流れ
離婚調停の手続きが終わると、裁判所から申立人と相手方に出廷通知が届きます。
日程はすでに指定されていますが、都合が悪ければ日にちの変更も可能です。指定された裁判所に、指定日時20分ほど前に到着するようにします。
家庭裁判所に到着したら、受付を済ませます。その後、待合室を案内されます。
このとき、「待合室I」「待合室J」などに分かれており、離婚する相手とは別々の部屋の待合室に分かれますので顔を合わせることはありません。
調停自体も申立人と相手方は順番に調停員と話をする形になりますので、顔を合わせることはありません。
調停では30分置きに2.3回の話し合いが交互にされるので、1回の調停にかかる総時間は2時間前後をみておくと良いでしょう。
その日の調停が終わる頃に次回の調停日時を決めます。その繰り返しで、離婚が成立するまで繰り返されます。
夫婦の意見がまとまり、離婚が決定しますと、裁判官や調停員の人などがいる部屋に夫婦も集まります。
そして、調停で決定した内容を読み上げられ、離婚が成立します。
(双方顔を合わせることになりますが、さまざまな理由により、相手と顔を合わせたくない場合は同席を拒否できます。)
ここで法的には離婚が既に成立していますが、戸籍上では離婚となっていません。ですので、この日から10日以内に役所にて離婚届を提出するという決まりになっています。
この時、10日以内に離婚届を出さなければなりませんが、本籍が地方などにある場合は戸籍謄本を取り寄せる必要があり、時間がかかってしまいます。
他にも都合がつかず、10日以内に離婚を届けられない場合、罰金が課せられることがあります。ですがちゃんとした理由を伝えれば、罰金にはならないことの方が多いようです。
離婚調停での持ち物や服装
調停員からの第一印象が悪くならないためにも、忘れ物がないようにして、ふさわしい服装で出廷しましょう。
持ち物
離婚調停で必要な持ち物は下記の通りです。
- 裁判所に提出した離婚調停申立書など書類の写し
- 離婚調停の呼び出し状
- 身分証明書
- メモ用紙・筆記用具
- 認め印
基本的に必要なものは、離婚調停の呼び出し状に明記されています。
その他の持ち物としては、待合室で時間が潰せるよう雑誌や本を持って行くこともオススメです。
服装
離婚調停と聞くと、どのような服装でいけば良いのかと迷いますよね。
裁判所で行われる事なので、正装でないといけないのかと思いがちですが、私服で大丈夫です。好ましい服装としましては、清潔かつ、落ち着いた服装と言えるでしょう。
バッグやアクセサリーなどブランド物ばかり持っていては、養育費を請求するにも調停員への印象があまり良くないものになってしまいます。もちろん髪の毛の色が派手であったり派手な格好も好ましくありません。
第三者で仲介に入る調停員も、1人の人間ですので、印象が悪くなってしまうと親切、親身にはなってもらえないこともあります。
ですので、仕事着や普段着などのカジュアルな服装で構わないのですが、調停に出席する時は派手ではなく、常識のある服装で出廷しましょう。
まとめ
いかがでしたか?損をしないためにも離婚をする時は調停離婚がオススメです。
調停員と言う第三者が入ることによって、感情的になりにくくなりますし調停中に夫婦仲が修復することもあります。
それに調停離婚をしておくと養育費や慰謝料などの支払いが滞ったときに、履行勧告・履行命令の制度が利用できます。
履行勧告は協議離婚では利用できない制度ですし、無料でおこなえる手続きなのでお得と言えます。
ただ、協議離婚に比べると離婚調停は手続に手間がかかったり、離婚するまでに時間がかかってしまうこともあるのがデメリットですね。
離婚した後のことを考えると、「調停離婚にしておけば良かった」と思えることがあるかもしれませんので、損をしないためにも面倒と思わず、離婚調停を検討してみてください。
ちなみに夫婦間で協議した末に、養育費や慰謝料について話し合いが決まっている場合でも、調停離婚をすることは可能です。離婚の形を、調停離婚にするだけですので、何度も調停する必要もなく離婚が成立します。
相手が養育費を支払わない場合は、給料の差し押さえをしましょう!その方法について
協議離婚から調停離婚に切り替えることができるんですね。参考になりました。
あまり費用もかからないみたいですし、今後のことも考えて念のために調停離婚にしようと思います。
rena様
コメントありがとうございます。
協議離婚は夫婦同士でするものなので、いつでも調停離婚に切り替えられます。
離婚した後のことを考えても、調停離婚にしたほうが良いでしょう。