子供が金属アレルギーになった場合の症状や対策(治療)法は?
アレルギーは「食物アレルギー」「ハウスダストアレルギー」「花粉アレルギー」など、様々なアレルギーがあります。
その中でも「金属アレルギー」と言うと、子供には縁がなさそうな気がしますよね。
しかし実は、子供も金属アレルギーを発症します。
髪飾りやネックレス、おもちゃに触れることで金属アレルギーが発症するのです。
アレルギーの症状を見つけても、まさか「金属」が原因とは思いません。
そのため、親は子供の金属アレルギーに気が付かないのです。
そこで今回は「金属アレルギー」に着目し、その原因と症状、対策方法についてまとめます。
このページの目次
金属アレルギーとは?
そもそも金属アレルギーとは一体何なのでしょうか?
人の体には、「免疫機能」があります。
免疫機能は、外から体に入ってくる「病原菌」に対し攻撃を行い、排除する役割があります。
この免疫機能が体内に入った「金属」に対し過剰反応を示し、金属を攻撃します。
肌が過剰な反応を示すと、体が痒くなったり赤くなったりするのです。
この状態を「金属アレルギー」と言います。
簡単に言うと、「金属が体内に入る(触れる)こと」でアレルギー反応を起こすのです。
ちなみに「金属アレルギー」という言葉をよく耳にしますが、金属アレルギーの正式名称は「接触皮膚炎」と言います。
金属アレルギーの原因
次に金属アレルギーを発症する原因について、説明します。
金属アレルギーの発症は下記の4つの要素が「組み合わさった時」に起こります。
- 金属
- 菌
- 汗
- 傷
「4つが組み合わさった時の白血球の働き」が、金属アレルギーに関わっています。
人間の体には、白血球があります。
白血球とは「体に侵入した病原体と戦う免疫細胞」です。
菌が体に侵入すると、白血球が増えて活発に動き出します。
その時に汗をかくと危険です。
汗をかいたことで金属が溶け、体に侵入します。
すると白血球は菌だけでなく、金属も「敵」と思い込みます。
金属を敵と思い込んだ白血球は、金属に対しての攻撃機能を身に付けます。
金属が体内に侵入する度に、白血球は攻撃を行います。
つまり金属に対して「異物」と、白血球が認識するのです。
白血球は、炎症物質を出しながら攻撃を行うので、体には痒みや湿疹等が現れます。
この流れが金属アレルギーの原因になります。
子供のおもちゃが金属だと、触れている手から金属が体内に染み込みます。
子供はよく汗をかくので、おもちゃが金属アレルギーの原因になります。
鉄棒やブランコの手すりも同様ですし、砂場の砂にも砂鉄が含まれていますので注意が必要です。
金属アレルギーと言えば、「金属が肌に触れる」ことで引き起こされると思っていませんか?
実は食物も金属アレルギーの原因なのです。
肌に金属を身につけていなくても、食べ物を摂取することで、金属アレルギーになることもあります。
多くの食物には「金属」が含まれています。
子供の好きなチョコレートやココアなどにも、金属が多く含まれています。
また缶ジュースの缶は金属になっており、金属がジュースに溶ける場合があります。
そのジュースを飲むと金属アレルギーを発症することがあるので、注意が必要です。
他にも虫歯治療の際、歯に詰め物をします。
この詰め物には「金」が含まれている場合があます。
ですので虫歯治療の銀歯や金歯が、金属アレルギーの原因になることもあるのです。
金属アレルギーは遺伝する?
親が金属アレルギーの場合、「子供に金属アレルギーが遺伝するのでは?」と思う人もいるのでは?
金属アレルギーには遺伝する要素がありませんので、遺伝しません。
上記でも説明したとおり、金属アレルギーになる原因は、「金属が体内に入ることで、免疫機能が異常に働く」ためです。
ですので両親に金属アレルギーであっても、「遺伝して子供が金属アレルギーになる」ことはありません。
金属アレルギーの症状
金属アレルギーを発症すると、下記のような症状が現れます。
- かゆみ
- 皮膚のかぶれや炎症
- アトピー性皮膚炎
金属アレルギーの症状の「現れ方」は、大きく分けて2種類あります。
金属接触アレルギー
「金属接触アレルギー」は、皮膚が金属と触れ合うことで起こります。
汗によって溶けた金属は、イオン化(約0.0000001mmの粒子)します。
イオン化した金属が、皮膚から体内に入り、アレルギー症状が現れます。
アレルギーの症状が現れる場所は、金属が触れていた部分です。
全身型金属アレルギー
全身型金属アレルギーは、「歯科治療による詰め物の金属」や「食品に含まれる金属」が、体内に入ることでアレルギー症状が現れます。
粘膜や腸に吸収された金属は、汗と共に金属が分泌されることでアレルギー症状を引き起こします。
汗は全身から出ますが、特によく汗をかく手や足に症状が現れます。
金属アレルギーを起こしやすい金属は?
金属の種類といっても様々で、金属に含まれる成分もそれぞれ異なります。
金属には「アレルギーを起こしやすい金属」と「アレルギーを起こしづらい金属」があります。
【アレルギーを起こしやすい金属】
- ニッケル
- コバルト
- マンガン
- 亜鉛
- クロム
【アレルギーを起こしづらい金属】
- シルバー
- 金
- プラチナ
- クロム
- ステンレス
- チタン
「アレルギーを起こしやすい金属」は、汗に溶けやすいと言う特徴があります。
それに比べ「アレルギーを起こしづらい金属」は汗に溶けづらくなっています。
アレルギー症状が現れるまでにかかる時間は、個人差があります。
すぐに症状として現れる子供もいれば、時間がたってから現れる子供もいます。
金属アレルギーの対策
金属アレルギーの症状で一般的なものは、「金属と肌が触れ合っている部分」に現れます。
ネックレスやピアスなどの金属類を身に着けていると、肌とアクセサリーが触れる部分にアレルギー反応がでます。
最近は子供のお菓子のオマケに、アクセサリー類が含まれていたり、100円均一に玩具のアクセサリー類があります。
幼い子供が金属に触れる機会は増えていると言えます。
重度でない場合は、少し触れたくらいでアレルギー症状は起こりません。
重度の場合は、金属に触れないよう気をつけましょう。
また金属に触れた際は、手を洗い金属を洗い流しましょう。
さらに虫歯の予防対策も行いましょう。
虫歯になり、詰め物に金属が含まれていると、金属アレルギーを発症する可能性があります。
甘いものを食べた後や食後は、歯磨きを行い虫歯予防に努めましょう。
また食事の際、金属を多く含む食べ物は避ける必要もあります。
金属を多く含む食べ物
金属を多く含む食べ物を避けるには、
「どのような食べ物にアレルギーを引き起こしやすい金属が含まれているか?」を知る必要があります。
そこで「アレルギーを引き起こしやすい食べ物」を紹介します。
ニッケル
チョコレート・きなこ・ココナッツ・大豆・くるみ・落花生・カシューナッツ・グリンピース・タケノコ・しそ・昆布・ナメコ・青のり・ココア
コバルト
牛レバー・干しわらび・干しひじき・あさり・ほっき貝・ココア
マンガン
しょうが・しそ・バジル・しじみ・油揚げ・がんもどき・みょうが・玄米・くるみ
亜鉛
生牡蠣・ほや・かに缶・牛肉・豚肉・たらばがに・いかなご・生たらこ・ココア
クロム
かぼちゃ・アーモンド・がんもどき・昆布・干しひじき・乾燥わかめ・チョコレート・山椒
金属アレルギーと思ったら病院へ
金属に触れて皮膚がかぶれたり、食物アレルギーの検査をしても原因がわからない場合は、金属アレルギーの恐れがあります。
子供が「金属アレルギーかな?」と思ったら、病院を受診しましょう。
何科へ行けば良い?
子供の金属アレルギーとなると、小児科に行けば良いのか、皮膚科に行けば良いのか、と迷いますよね。
小児科でも皮膚科でも良いのですが、アレルギーの知識に詳しくない医師がいる可能性があります。
アレルギーに詳しい先生がいない病院だと、受診しても原因がわからず、結局違う病院を紹介されます。
ですので一番良いのは、アレルギー専門の医師がいる小児科や皮膚科です。
大学病院や総合病院などの大きい病院でしたら、アレルギーに詳しい先生が常駐しているでしょう。
病院を受診する前に、アレルギーに詳しい医師がいるのか確認するのが良いですね。
金属アレルギーはどのような検査?
病院に行くとまずは問診が行われます。
「どのような金属に触れていてアレルギー症状がでたのか」
「何を食べてアレルギー症状がでたのか」
などを聞かれます。
ですので、アレルギー症状が出たときのことはよく覚えておく必要があります。
その後、金属アレルギーを調べるための血液検査とパッチテストをします。
血液検査では血中の「IgE」と言う物質の値を調べます。
「IgE値」は、「アレルギー体質かどうか?」を調べる目安となる数値です。
血液検査ではアレルギーかどうかを判別できませんが、アレルギー体質がどうかがわかります。
ですのでパッチテストも行います。
パッチテストでは、アレルゲン物質を薄めた液体を肌に貼り付け、時間を置いて肌の炎症を確認する検査方法です。
パッチテストをした部分が赤くただれたり、荒れたりすると、金属アレルギーと言うことになります。
保険は適用される?料金はいくらかかる?
金属アレルギーの症状で病院を受診した場合は、健康保険が適用されます。
子供の金属アレルギーでしたら「乳幼児医療制度」を利用できるので、料金は「500円」で済みます。
しかし金属アレルギーの症状が過去に1度もなく、単に「調べてもらうための受診」でしたら健康保険は適用されません。
ですので「検査費用が全額負担」になってしまうので注意しましょう。
金属アレルギーは治る?
金属アレルギーは一度発症してしまうと、治ることはありません。
症状を抑えることはできますが、完治することはないのです。
一度でも金属アレルギーを発症すると、その後は金属アレルギーを抑える対策を行い続ける必要があります。
金属アレルギーで困ること
金属アレルギーになると、困ることが沢山あります。
子供の頃から金属アレルギーを発症すると、遊ぶ玩具や遊具に気をつけなければなりません。
チョコレートを好きな子供が多いですが、チョコレートを食べられなくなってしまう可能性もあります。
虫歯になると余計に注意が必要です。
「健康保険が適用される歯の詰め物」には、アレルギーを引き起こしやすい金属が含まれています。
ですので保険適用外の詰め物になり、医療費が高くなってしまうこともあります。
また大人になると、アクセサリーをつけることが多くなります。
金属アレルギーを持っていると、メッキなどのアクセサリーを身につけることができません。
高価な金やシルバーを身につける必要があるので、アクセサリーにもお金がかかってしまいます。
実は、男性より女性のほうが金属アレルギーを発症する割合が高いのです。
その原因は「アクセサリー」が原因と考えられています。
金属アレルギーになると、困ることが沢山あります。
ですので金属アレルギーを発症しないように、子供の頃から注意が必要です。
まとめ
「金属アレルギー」は金属が体内に入り、免疫機能が異常な働きをすることで発症します。
免疫機能が異常な働きをすることで、皮膚にかゆみや炎症を引き起こします。
ちなみに金属アレルギーが親から子供へ遺伝することは、ありません。
金属の中にはアレルギーを引き起こしやすい金属と、そうでない金属があります。
「汗に溶けやすい金属」は、金属アレルギーを引き起こしやすいので注意しましょう。
肌に金属が触れることで金属アレルギーになると思われがちですが、金属が含まれた食べ物でも金属アレルギーは発症します。
女の子の場合、化粧の時に使うビューラーで金属アレルギーになることもあります。
金属アレルギーでの通院は、健康保険が適用されます。
子供のときでしたら、乳児医療制度が利用できるので安く済みます。
子供が金属アレルギーを発症したら、病院を受診して「アレルゲン」を特定しましょう。
食物アレルギーが発症した場合、どのような症状が起こるのか把握しておきましょう。
食物アレルギーになりやすい食品というものが存在します。